8月に入り急に猛暑が続き、コロナ過の中、マスクを外せず息苦しいですが、今年も十分な熱中症対策が必要です。新型コロナウイルス感染拡大の終息が見えない中、経済への打撃は大きく、企業の中には店舗、支店、工場などの閉鎖を余儀なくされ、人員整理も行われつつあるように聞きます。
人員整理に伴い、職場は変わらないが社員から専属外注へ変わったという事例もあります。
企業側は先行き不透明な経営状況において、固定的経費の給与から、仕事量に応じた変動的経費の外注費に切替えたいとの思いがあります。
今月は、このような専属外注費の会計・税務の注意点を説明します。
このテーマを取り上げた理由の一つに、税務調査での指摘事例が多いことです。
企業側は外注費であろうが給与であろうが、実際に支払ったものは、経費には変わりないと主張します。
税務署側は給与と外注費では、税金的に違いがあるので、明確にすべき、と主張します。
税務署の言う税金的な違いを以下に見てきましょう。
企業や個人事業主の最終利益に対して課税される法人税や所得税においては、外注費であろうが、給与であろうが、経費には違いがないので、特に問題にはなりません。
2で述べたように支払った企業側や個人事業主側では経費ですが、もらった外注先は、売上になります。
特に税務調査で指摘されるのは、この外注先が個人事業主として所得税の確定申告をしていないケースがある事です。
実際に税務署では、外注先が申告しているか否かの確認は容易にできます。確認した結果、次の例があります。
(1)きちんと申告している。
(2)申告しているが、売り上げが少ない。
(3)申告しているが、売上ではなく「給与」として申告している。
(4)まったく申告していない。
(2)、(3)、(4)の状況では、税務署は放っておくわけにはいかず、(4)に至っては、支払った企業や個人事業主に架空外注費の疑いがかけられます。
外注先に払った事実はあるものの、以下の理由により、「外注費」ではなく「給与」として、毎月、源泉所得税を徴収する必要があると指摘されるケースもあります。
(1)外注費が毎月同額(給与としての認識があるのでは・・・)
(2)請求書がない。
(3)請負、業務委託の契約書がない
(4)請求書はあるが、時間的や日当的な計算になっている
給与としてみなされてしまうと、源泉所得税の徴収義務者は企業なので、企業が一旦税金を負担し、外注先から徴収する形となります。
消費税の計算にも大きな違いがあります。原則課税方式で申告されている企業や個人事業主では、支払った外注費に対する消費税は、「仕入税額控除」として、売り上げに対する消費税から、控除して、申告消費税を計算されています。
つまり、この外注費が給与とみなされると、給与は消費税上の非課税ですので、「仕入税額控除できず」として、売り上げに対する消費税から控除できません。申告する消費税は増加します。
外注費か給与かの判断はケースバイケースですが、ポイントを以下に示しましたので、ご参考にして下さい。
(1)形式的なポイント
請負契約や業務委託契約が締結されている
請求書が発行されており、仕事の内容や作業量が明記されている
(2)実質的なポイント
実態的に雇用関係がなく、他の社員と扱いが違う(出勤時間や休日)
自社の業務だけでなく、他社の業務も行っている
業務に使う材料、道具、車は外注先本人が用意する。