コロナ禍の影響により、雇用環境が悪化している状況が続いており、雇用調整助成金制度の延長など、企業の雇用を底支えようと政府も対策を講じています。
法人税の改正においても、雇用を増加させる企業に税のメリットを与える観点から、所得拡大促進税制の見直しがありました。
今月は法人税の主な改正の概要を紹介いたします。
1.中小企業の所得拡大促進税制
- 適用期限が2年延長(令和5年3月31日までに開始する事業年度)されました
- 要件が緩和され、雇用者給与等支給額が対前年度増加率1.5%以上だけとなりました
→継続雇用者の要件がなくなり、適用範囲は増えました。
- 税額控除額は改正はありません
雇用者給与等支給額の対前年度増加額×15% を法人税額から控除できます。
2.中小企業投資促進税制
- 適用期限が2年延長されました
令和5年3月31日までに設備等を取得し事業の用に供する。
- 対象設備が追加されました
機械装置:160万円以上
ソフトウェア:70万円以上
建物附属設備:60万円以上
器具備品:30万円以上
- 特別償却30% 又は 税額控除7%
3.中小企業経営強化税制
- 適用期限が2年延長されました
令和5年3月31日までに設備等を取得し事業の用に供する。
- 対象設備は上記の中小企業投資促進税制と同じですが、中小企業等経営強化法の認定計画に基づく設備投資が対象です
◎生産性向上設備(A類型):生産性が年平均1%以上向上
◎収益力強化設備(B類型):投資収益率5%以上の計画投資
◎デジタル化設備(C類型):遠隔操作、可視化、自動制御化設備
- 特別償却30% 又は 税額控除7%
4.中小企業事業再編投資損失準備金制度の創設
- 制度の背景
M&A実施後に発生する簿外・偶発債務といった買い手のリスクに備える観点から創設されました。
- 対象法人
対象法人は、M&Aに関する中小企業等経営強化法に基づく認定計画を受けた青色申告の中小企業です。
- 要件
株式譲渡によってM&Aを実施する場合に、株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てることが要件です。
- 税制度
3.の準備金を損金算入できます。
そして、この準備金は、据置期間終了後、5年間で均等額を取り崩し、益金算入します。
その他、ポストコロナの経済再生対策として「デジタルトランスフォーメーション投資促進税制」や「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」などが創設されていますので、設備投資を計画されている企業は事前に、要件や対象設備を確認しておいてください。