コロナ禍の中、生活様式や働き方に変化が見られ、テレワークや在宅勤務が増えているそうですが、経理事務をご担当される皆様にとっても、パソコンの通信システムやソフトの充実は欠かせないものとなっています。
今回は令和2年分の年末調整に関する留意点をご紹介します。
今年は例年よりも改正事項が多く、具体的には(1)給与所得控除引き下げ、(2)基礎控除引き上げ、(3)所得金額調整控除の創設です。
令和2年分以降の給与所得控除額が一律「10万円引き下げ」られました。
又、給与収入が850万円超の場合には、上限額は220万円から195万円に引き下げられました。
(給与所所得控除額の詳細は国税庁のHPを参照下さい)
令和2年分から基礎控除額が38万円から一律「10万円引き上げ」られ、48万円になりました。
但し、合計所得金額が2400万円を超えると控除額が逓減し、2500万円を超えると控除額は0円となります。
合計所得金額………………令和2年分基礎控除額
——————————————–
給与所得のみの方で、合計所得金額が2400万円以下の方は、上記1と2によって、給与所得控除額が10万円引き下げられますが、基礎控除額が10万円引き上げられるので、控除額の振替があっただけで、基本的には税金負担は変わりません。
しかし、給与収入金額が850万円超の方は、1による上限の引き下げの影響を受け、増税になります。
そのため、次の対象者について増税を抑えるため、「所得金額調整控除」が設けられました。
(1) 対象者(次のいずれか該当)
A 本人が特別障害者に該当
B 23歳未満の扶養親族を有する
C 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する
(2) 調整額の計算
(給与等の収入金額-850万円)×10% (最高15万円)
<給与等収入が1000万円を超える場合には、1000万円とする>
(3) 計算例(給与等の収入金額900万円の場合)
所得金額調整控除額(900万円―850万円)×10%=5万円*
給与収入………………… 900万円
給与所得控除額…………-195万円(上限)
所得金額調整控除額…… -5万円*
————————————–
差引給与所得の金額…… 700万円
上記3の所得金額調整控除の適用は、毎月の給与計算には関係しませんが、年末調整で受けることができますので、適用を受けられる社員さんがおられる場合には、勤務先に「所得金額調整控除申告書」を提出してもらう必要があります。
<会社の留意点>
◎年末調整は、基礎控除などが変更になっていますので、早めの準備や給与計算ソフト(令和2年分対応版)の更新などが重要です。