あまりの暖かさに紅葉も例年より遅かったようですが、忘年会やクリスマスの声を聞くと、何かと忙しさを感じる12月です。
今月は、先月に続き「予算書を作ってみましょう パート2」といたしました。
先月パート1で、予算の必要性や簡単な作成方法を説明しましたので、今月は具体的な予算数値の組み立て方で「売上予算の作成」を説明いたします。
何と言っても売上高が決まらないことには先へ進めません。売上の予測は重要でありますが、中小企業などは営業部署を持っていない所も多く、受注した仕事の積み重ねが売上に繋がっている状態ですので、確固たる営業計画に基づく売上予測を立てることが難しい現状ではないでしょうか。
そのような点から、以下の三つの方法をお勧めします。
12ヶ月分の月毎の売上高予測表を作ります。
まず、直近1年間の売上高実績を12ヶ月の月毎に横に並べます。
あるいは、直近3年間の平均売上高実績額を12ヶ月分横に並べても構いません。
その下に、来期に予測できるプラスマイナスを月毎に表に入れて行き、月毎の実績額とプラスマイナスの合計額が、その月の売上高予測となります。
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1月 2月 3月 ~ 年間合計
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直近実績 1,000 1,800 800 ~ 18,000
来期の予測 200 -300 500 ~ 2,000
売上高予測 1,200 1,500 1,300 ~ 20,000
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月毎のプラスマイナスが予測し難い場合は、年間のプラスマイナスを12ヶ月で割って、その金額を表に記入しても構いません。
重要なのは、月毎に数値目標を立てることです。
企業の大半は繁忙期と閑散期があり、閑散期には赤字になる可能性もあります。
その赤字をどうとらえるのか、がポイントで、しっかりと予算を組み、予算上も赤字であれば、それは「覚悟の赤字」であり、慌てることはなく、繁忙期にしっかりと利益を出して、「取り返す黒字」を予算化し実行する戦略へと繋げます。
そのような観点で売上高を予測することもできます。
部門や部署毎に売上高を管理されている企業、あるいは管理はしていないが、請求書や販売システムで部門別の売上高が判明できる企業は、部門別売上予測方法をお勧めします。
まず、各部門の責任者がいる場合には、その責任者が直近3年間の売上実績数値を基に、来期の月毎売上予測を立てます。
部門の責任者がいない場合には、社長と経理担当者が、上記1.の方法で部門毎の売上予測を立てます。
部門別に捉える必要性は、部門別の粗利益率が違う点です。
さらに成長部門、停滞部門、衰退部門など、前期実績よりも売上を積み増しできる部門なのか、そうでないのか、などの将来戦略にも繋がるからです。
尚、支店別売上予測方法も同じ考え方です。
主要な商品やサービス、あるいは得意先に対する売上予測を行います。
例えば、企業全体の売上高の50%以上を占める得意先があれば、その得意先に対する売上高をしっかりと予測します。
もちろん直近の実績をベースにしますが、相手の担当者から情報を聞き出し、その会社の業績やライバル会社の状況を掴んで、自分の会社がどれくらい受注できるのかを予測することが重要です。
主要商品や主要サービスも同じですが、売上の大半を占めるものがあれば、その売上が減少すれば、大げさですが、会社存続の危機にも直面しますので、常に周りの情報を集め、「求められているものを提供できているのか?」の視点で売上予測することが大事です。
具体的には
A 第1順位 商品売上高(あるいは商品グループ売上高)
B 第2順位 商品売上高(あるいは商品グループ売上高)
C 第3順位 商品売上高(あるいは商品グループ売上高)
D その他売上高
のように、売上高順位毎に予測します。
商品の代わりにサービスや得意先としても構いません。
◆◆売上予測は重要です◆◆
理想的な数値や希望的な数値を表に書き込むのではなく、代表者なり、担当者が責任の持てる数値を組み立てる意識と行動が大切です。