梅雨の季節になり、蒸し暑い日々が続くと心も憂鬱になります。
会社経営をされておられる方のお悩みの一つが、自分自身の給与です。あまり役員報酬を取り過ぎると会社が赤字になる恐れがあり、役員報酬が少なすぎると、会社に大きな利益が残り、法人税の負担が多くなる…
適切な役員報酬の額は、一体いくら、なのか?
このような声を良く聞きますのも、法人税法上で役員報酬に一定の制約を設けており、「今期は思ったより利益が出たから、役員報酬を増額しよう」とは、簡単に出来ないからです。
今回は「同族会社の役員報酬」について、法人税法上の取扱を整理してみましょう。
法人の取締役等ではないが、税法上の役員とみなされれば、“みなし役員”となり、その給与について役員報酬規定の制約を受けます。
みなし役員とは、会社法上の役員(取締役、監査役、執行役など)以外の者で、相談役や顧問など経営に従事している者や一定割合の株式を所有し、法人の経営に実質的に従事している者を言います。
法人が支払う役員報酬で、経費算入が認められているものは次の3種類です。
(1)定期同額給与
(2)事前確定届出給与
(3)利益連動型給与
(同族会社以外に適用される為、今回は説明を省略します)
定期同額給与とは、毎月の役員給与を指し、税務上のポイントは次のとおりです。
(1)事業年度途中で役員給与を増額若しくは減額することが出来ない。
(2)給与の改定は年1回で、定時株主総会の決議により決定する。
(3)定時株主総会は決算日以後、通常2ヶ月~3ヶ月以内に開催されるので、3月末
日決算であれば、5月~6月に株主総会が開催される。
(4)従って給与の改定月は新事業年度開始の月ではなく、2、3ヶ月後となる。
(5)3月末日決算の場合で株主総会開催月が5月の場合
3月分給与と4月分給与は改定前の給与、5月分給与から改定できる。
☆定時株主総会で決定した役員給与は原則、事業年度の途中で増額も減額もできず12ヶ月、同額であることとされていますので、例えば、半期の業績により7ヶ月目から増額(又は減額)することなどは出来ません。
正確に言えば「出来ない」ことはなく、仮に会社の判断、例えば臨時株主総会で、半年後に増額を決定し支給することは可能です。
但しこの場合、増額部分が税務上の経費として認められない、と言うことです。
事前確定届出給与とは上記の定期同額給与(毎月の給与)以外に支給する役員賞与のような給与です。
これも、先ほどの役員給与の増額と同じで、会社の判断で役員に賞与を支給することは出来ますが、基本的には税務上経費として認められません。
役員賞与を税務上の経費(損金算入)とするには、“事前確定届出給与”の一定のルールに従って支給する必要があります。
(1)各役員に支給する給与額と支給日を記載した「事前確定届出給与に関する届出
書」を税務署へ提出する。
(2)届出書の提出期限は次のイ又はロのいずれか早い日。
イ:株主総会等の決議日から1ヶ月を経過する日
ロ:会計期間開始の日から4ヶ月以内。
(3)支給額は限度額ではなく、実際に支払う支給額である。
☆事前確定届出給与をうまく利用すれば、役員賞与を損金扱いに出来き、節税にもなりますが、注意すべき点は新しい事業年度が始まって間もない時期に支給額を決めておかないといけない点と届け出た支給額は限度額ではないと言う点です。
つまり、支給額を500万円としていたなら、500万円支給しなければならず、仮に300万円しか支給しなければ、300万円全部が経費になりませんので、注意して下さい。