今井正人 著 (T・M・S税理士法人 税理士)
東日本大震災からの復興に必要な財源確保として「復興財源確保法」が公布
され、平成25年1月1日から施行されることになりました。今月は復興特別
税に関する実務の注意点を説明します。
1.復興特別所得税の源泉徴収
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(1)期間
平成25年1月1日から平成49年12月31日まで
(2)徴収義務者
通常の所得税の源泉徴収義務者が復興特別所得税も伴わせて徴収し、
通常の所得税と一緒に納付します。
(3)源泉徴収の対象
対象となるものはいくつかありますが、一般的な実務においては、
次の所得税が対象となります。
・社員等に支払う給与や退職金に係る源泉徴収
・税理士等に支払う報酬、料金等に係る源泉徴収
(4)源泉徴収額の算出方法
復興特別所得税は通常の所得税と一緒に徴収します。
支払金額×合計税率(%)= 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税
※1円未満の端数切り捨て
合計税率(%)= 所得税率(%)×102.1%
合計税率は、復興特別所得税率が2.1%ですので、所得税が10%なら
合計税率は10.21%となり、所得税が20%なら20.42%となります。
(5)毎月の給与等に係る源泉所得税及び復興特別所得税
平成25年1月1日以降に支払う給与・賞与については、「平成25年分
源泉徴収税額表」にあてはめて算出して下さい。「平成25年分源泉徴収
税額表」は既に税務署から各事業所に配布されてありますが、国税庁の
ホームページにも掲載されています。
*「平成24年分源泉徴収税額表」は使用しないで下さい。
(6)報酬・料金等に係る源泉所得税
例1 弁護士報酬を300,000円支払う
源泉所得税及び復興特別所得税=300,000円×10.21%=30,630円
弁護士への支払額 =300,000円―30,630円=269,370円(手取り額)
例2 税理士報酬を手取りで100,000円支払う
請求額 100,000円÷(100%-10.21%)=111,370.976円
⇒ 111,370円
源泉所得税及び復興特別所得税=111,370円×10.21%=11,370円
税理士への支払額 = 111,370円―11,370円=100,000円(手取り額)
2.復興特別法人税
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復興特別法人税として通常の法人税額に10%が付加されます。
中小法人の年800万円以下の通常税率15%の場合、復興法人税率1.5%
(15%×10%)が加わり、合計税率は16.5%となります。
又、適用事業年度は平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に
最初に開始する事業年度から3年間です。