今井正人 著 (T・M・S税理士法人 税理士)
12月に入り、年末調整の時期になりました。毎年この時期になりますと、
社員の方々に「扶養控除等(異動)申告書」及び「保険料控除申告書兼配偶者
特別控除申告書」を記入して頂いているかと思いますが、改正点も含め年末
調整事務のポイントを説明します。
1.扶養控除等(異動)申告書
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税務署から送られて来る年末調整の封筒の中に入っている「扶養控除等(異動)
申告書」は平成25年分です。まず、平成24年分の「扶養控除等(異動)申
告書」が既に提出されているかどうか、扶養家族などその記載内容が平成24
年12月31日時点で変更がないかどうか、を確認して下さい。
以下によくある間違いの事例を紹介します。
(1)平成24年中に入社した社員に「扶養控除等(異動)申告書」の平成
25年分の用紙だけを渡し、平成24年分が未提出。 この場合、この
社員は年末調整の対象となりません。
(2)16歳未満の扶養親族を控除対象扶養親族欄に記入している。 平成23
年分からは、扶養親族である子であっても16歳未満は控除の対象外と
なりました。用紙の下段の『住民税に関する事項』に記載して下さい。
(3)障害者、寡婦、寡夫の記載漏れ。 離婚されている社員などは控除の対
象となる可能性もありますので、事務担当者から説明を加える事も大事
です。
2.保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書
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(1)生命保険料控除
基本的には保険会社からの控除証明書の添付が必要です。又、今年度よ
り改正があり、【新保険料等】(平成24年1月1日以後に締結)と
【旧保険料等】(平成23年12月31日以前に締結)との控除計算方
法が違い、合計摘要限度額が12万円になっていますので注意して下さい。
(2)社会保険料控除
パート、アルバイト、あるいは中途入社の社員で、自分で国民健康保険
料や国民年金を支払っている場合には、控除対象となりますので、記入
漏れがないかを確認して下さい。
(3)配偶者特別控除
配偶者に何らかの収入がる場合には、用紙の右中ほどにある『配偶者の
合計所得金額(見積額)を次の表により計算して下さい』欄に記入し、
合計所得金額を計算し、配偶者特別控除額の早見表を見て控除額を記入
して下さい。
3.家族の収入を確認して下さい
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昨今、たまに見受けられる間違いは、御主人が奥さんや子どもさんのパート
収入を知らずに、年末調整で配偶者控除や扶養控除を受けて、翌年あるいは
数年後に税務署の方から是正通知が来るケースです。調べて見ると、パート
収入が103万円を超えていた事が分かり、控除が受けられず、追加税金と
延滞税を納める結果となった方もおられますので、必ず控除対象とする家族の
収入は確認して下さい。