当初2017(平成29年)年4月1日に予定されていた消費税10%改正は、2019(平成31)年10月1日に2年半再延期。
食品等への軽減税率の導入も、同日まで延期となりました。
各メーカーごとの消費税対応・軽減税率対応更新プログラムの提供スケジュールは現状全て白紙に戻っています。
また、更新プログラムの無償提供条件も見直される可能性があります。
現時点では具体的な案内がありませんし、私どもも修正途上ですが、今後随時各ショップページにて公開してまいります。
さて、ここから先は与太話。
舞台裏、と言うほどのものではありませんが、我々の視点・情報でこの件を綴ります。
業務ソフト業界は、すでにあらゆる事業者様に製品が行きわたっていることから、飽和市場と言われて久しいです。
こうした中、新規顧客を獲得するのは難しいので、メーカー各社は必然的に「いかに既存のお客様から収益を上げていくか」ということを考えます(我々販売店もまた業務ソフトユーザーであるわけで、いちユーザーの心境としては複雑なものですが、「営利企業体の商売の仕方」としては、まぁそうなるわな、という)。
こうなると、ただ何もないのにお金を払う気前のいいお客様なんていませんので、何らかの商売の種、お題目が必要になってきます。
ユーザーにすれば、業務ソフトにしろ車にしろ、あらゆる備品は、普段から何事もなく動いてくれさえすれば、それらに対して何もしたくないわけです。
エアコンの調子が少々悪くても、冷気が出るならだましだまし使おうという、そういう行動をとるのが人情なわけです。
ところが、消費税改正は、何事もなく動いていたソフトが、そのままでは業務実態に合わなくなる=そのままではうまく動かなくなるという、大きなインパクトをもたらします。
だからこそ、業務ソフトメーカーにとっては「ビジネスチャンス」と捉えて間違いないでしょう。
消費税なんて、税率をちょいちょいって変えれば、なんとでもなるじゃない!
そもそも昔は税率変える設定あったよね!?
それが気付いたら、あれーーーっ!?なんで無いの??
くっ…、姑息な真似をしおって…!
というお話をネタに、あるときはお客様と共にメーカーを非難し、ある時は我々も同じ穴の狢と非難され、様々にトークを展開してまいりました(苦笑)。
もうまるで業務ソフト業界が利権欲しさにロビー活動を重ね政策を捻じ曲げているかの如き印象をも与えているような、いないような(当然、そんな事実はありません)。
どっこい、メーカーさんからすれば、税率改正の都度設定される経過措置の細かい基準への対応とか、同一期間に混在する複数税率の伝票の処理ロジックとか、テストとか、リリースとか、いろいろ手間がかかるものなのだそうです。
一番の問題は、こういう数年に一度のソフトウェア大改修のときは、国中の皆が一斉にその必要に迫られるので、人手は足りないわ、時間はないわ、お客さんや販売代理店を説得したり動かしたりするのに大変だわと、いろいろ苦しいそうです。
特に今回は、どっちに転ぶのか非常に読み辛くて。官邸はともかく政府は結構上げる気満々なところもあったようにも思いますし。
軽減税率対応で8%の時より工数(作業量)もかさむので、どんな増税シナリオで来ても対応できるように、あらかじめプログラマーの頭数を揃え、広報戦略を練り、販売体制を築き、サポート体制も整え、万全の態勢を取った挙句に見事、梯子を外されるという。
こういう損失って、見えないようで馬鹿にならないと思うのですよ…。
国策に振り回される、という意味では、メーカーも被害者的な側面があるのだと、私は思います。お客様にはなかなか受け入れられない部分ですが。
業務ソフト界隈・流通の末端を担う我々販売代理店もまぁ、ものの見事に振り回されております。
作ったページも吹っ飛ぶし、販売予算も組み換え?
ただ、それは我々だけではなく、駆け込み需要の大きい耐久消費財メーカーとか、小売業者なんかは皆同じように今頃困惑しきりでしょう。
特に困るのは、すでに情報提供を行い、商談が進んでいたお客様や、先読みで動かれていたお客様への対応です。
私どもとしては、経済的やソフトの信頼性、メーカー施策との整合性などを勘案し、その時点で最善のご案内をするのですが、前提条件が変わると、「最善」も変わります。
申し訳ないやら、情けないやら。
特に昨今、法改正に関する案件は、こういうパターンが増えていると思います。
日和見主義というか、ぎりぎりまで様子を見て、土壇場で動いたり、対応自体を放棄したほうが、結果的に投資額を最小化できるというケース。正直、これだけ振り回されれば、そうもなりますよね。
政局もいいですけど、事業所毎の生産性を高めるってことも、国の重点課題だったんじゃないんですかね?
パッケージソフトを使って生産性を高めるためには、業務手順の理解が絶対的に必要で、ある程度はパッケージに合わせ、またある程度は自社や業界の商慣行に寄り添う、要はバランス感覚が大切です。
それを高い次元で実現するには、部分最適では不十分で、やはり全体を見渡して着実に積み上げていく姿勢が大切です。関係者間の調整やシミュレーションは欠かせず、ギリギリまで待っていいはずないのです。
政治的意思決定の際、こういう細かいところへ目は届かないのは仕方ないですが、いい加減学習してほしい思いもあります。なんで日本企業の生産性が低いか、長時間労働が多いかって、欧米諸国に比べ、業務のシステム化がうまくできてないことが大きいんですって。
マクロの話は置いといて、個々の事業所単位に戻しますが、日和見主義がはびこれば、結果的に業務改善は常に後手に回り、種々の法や施策の理念とか、現場業務の生産性や効率などは度外視となってしまうのですよ。
短期的な資金の節約ができても、長期的にはその非効率と事務処理費用を抱え込んでいくわけで、それって本当に経済合理性に適ってるのか、どうなんでしょうね。
さらに良くないことに、巷では先月初旬あたりから、Windows搭載パソコンの「10」への強制アップグレードが話題になっています。
実は弊社のPCもいくつか餌食となり(!)、予定していた利用中ソフトの対応検証などアップグレードスケジュールは急きょすべて前倒し、どったんばったんしておりました。
メーカーのサポートセンターも、この件に関する問い合わせが多く、大変な状況です。
弊社としても、いくつかのショップで強制アップグレードへの対処法案内を加えています。
メーカーにしてみればこれも寝耳に水で、マイクロソフトさんから事前にそういう仕様にすると、事前に連絡があるわけではないんですね(ここがいかにも外資っぽいところです)。かくしてある日突然ばーーん!っと強制アップグレード。自社内もごたごたしつつ、お客様からの問い合わせ殺到。何が起こっているか確認するところから始まるという、そんな状態なのです。
これをお粗末と捉えるか、仕方がないと捉えるかはそれぞれですが、事業や業務の管理的立場の人なら、同情せざるを得ないような気がしますが、どうでしょうか。
サポートセンターも、今の時期は閑散期ですから、十分な人員体制ではないし、しかしお客様からすれば繋がらないサポートセンターは、支払ったサービスの対価が受けられない状態だから非難の対象であり、ホント、外部の力に振り回されっぱなしの5月6月ですね。
(この件で、迅速にサポートが受けられなかったお客様には、販売事業者としてもお詫び申し上げます。)
我々の本分は、メーカーとともに業務ソフトの販売を通じ、お客様の生産性向上や事業の発展を目指すことです。廉価による製品供給は前提として、適切なタイミングでの購買意思決定や、その意思決定に必要な情報を整理してお届けすることが使命です。
…というわけで、愚痴はこのあたりで収めつつ、再び日々の情報収集や学習、信頼に足る情報発信に勤しんでまいります。今後とも末永くお付き合いくださいませ。