とか、釣りっぽいタイトルで始めてみましたけれども。
何度かこういう話題に触れていますが、とにかく小さな企業がマンモス企業の運営するECサイトにいかに立ち向かうか、という話です。
私がミモザのネットショップに関わりだしてから3年半。この間だけでも、会計ソフトのネットショップという超ニッチな業界でも、前提条件の大きな変化がありました。
家電量販店のECサイトが充実してきました。
事業者によっては、数年前では7:3くらいだった店頭売り/ネット売りの比率が、今では4:6くらいに逆転してきているそうです。店頭とネットの価格統一とか、ポイントの相互利用とか、配送案内の強化とか、その進化は目覚ましいですね。
確かに、よくよく考えれば、量販店に行っても後日配送にして持ち帰らないこと多いですし。最初からネットだとしても問題はないんですよね。
そして、amazonの台頭。圧倒的な流通インフラと「規模の経済性」を武器に数多の中小ネットショップを呑みこんでいます。ネット通販の市場規模は拡大を続けていますが、そのパイにありつける企業はごくわずかです。これが現実です。
ネットに接続する端末が変わってきています。家庭やオフィスの据え置き型パソコンから、ノートパソコン、そしてスマホへ。いつ何処にいても、何でも買える時代になりつつあります、というか、なりました。
当然ネットショップについても、パソコンから見る人と、スマホから見る人で、置かれている状況は違うし、画面の大きさも違うので、見たい情報とか、その順序は違います。運営者はそれに対応する必要が出てきました。
製品自体の形態も変わりつつあります。時代の変化に沿ったダウンロード版やクラウド版の登場、メーカーによる直販の拡大など。
総合すると、中小ネットショップは年々「分が悪くなっている」わけです。
その元凶ともいえる多くの大手さんの力点がどこにあるかというと、
・安売り、薄利多売
・物流スピード
・ロングテール
↓
その本質は、
・シェア獲得
これ単純に、マーケットシェアだけの話ではありません。
どちらかというと、「マインドシェア」、顧客一人ひとりの頭の中に、どれだけ自社サイト・ブランドを記憶し、購買行動の際に想起してもえらるのか、という頭の中での印象度合いの競争をしています。
顧客の生活に入り込み、顧客を囲い込み、支配し(言いすぎ?)、ジャンルを超えてなるべくたくさんの品目を自社サイト(店舗網)から買っていただこうと差し向けることが、大手サイト(というか、大手流通事業者)の思惑です。打ち出されているポイントとか安売りとかの作戦は、全てその実現へ向けての努力です。
・効率的な更新・運用
└商品ページの標準化・定型化
初期段階で精度の高いテンプレートを整備する
商品情報や画像登録作業の工数削減
安い人件費、外注の活用(意思決定や仕入・MDは内注、制作は外注ないし非正規雇用化)
・コールセンターの圧縮、FAQページの充実により問合せ自体を抑制
・システム投資、自動化
これが大雑把ですが多くの大手企業が取っている方向性です。
それでは、これに対峙する中小ネットショップの戦い方は?
とにかく、「逆張り」に尽きるのではないでしょうか。
とにかく、何が何でもここが重要です。大手さんは取扱い品目が多い(とこが多い)ので、一つひとつの商品への理解はおろそかになっている面があります。カタログ掲載のキャッチコピーとスペックをそのまま転載しただけのサイト、大小問わず、未だに多いんです。
ECは、多くが「小売業」、もう少し細かく見ると「買い物支援情報を提供するサービス業」です。お客さんが良し悪しを自己判断できたり、自分でメーカーのカタログを見て考えて選択できるような商品は、結局のところ一番立地の良い店(超大手サイト)か、一番安く売れる人(メーカー)が勝ちます。逆に、その商品について理解するのがちょっぴり難しかったり、バリエーションが多ければチャンスです。その「商品の」プロフェッショナル、伝導士に「なりやすい」んです。商品だけでなく、実際にその商品を使う人の立場や、その業種業界の抱えている課題、長期的なトレンドも追えるとなお良いです。
ポイントは、一番安く売れない人は、一番安く売れる相手と同じ戦略は取ってはならないということです。
効率化の追求、過度のマニュアル化は大手と同じ路線。
中小企業は、規模や標準化・マニュアル整備の投入コスト(費用というより、労力)で、結局大手にはかないっこないです。ここに『過度に』こだわったところで、競争優位を築く水準にはなかなか到達しない。
むしろ、標準をはみ出すような非効率というか、尖ったコンテンツ、深堀りが鍵で、それが生まれる土壌を作る方が難しい。すなわち、難しい(複雑、ということではなく、骨の折れる)ことをやればいいんです。
局面にもよりますが、商品が売れなくなってしんどくなってきたときに一か八か価格勝負に打って出る中小企業の(経営陣の)多くは怠慢です。繰り返しになりますが、低価格が「戦略」として許されるのは資本力があるプレイヤーのみです。価格に対する納得感が得られる付加価値を提供できていれば、商品は売れます。ここから逃げないことです。
納得感の得られる付加価値とは?
└悩み解決
商品の選び方の伝授、手助け
人間関係、応対への信頼感
顧客の事業発展(収益増、コスト減)に繋がる有形無形の「提案」
常により高い次元での価値提供を目指します。
見積もり対応、電話でのサポートなどなど、他人がやりたくないことをやるのも一つの道です。
大手さんのショップでは、問い合わせの電話番号を見つけるのが年々難しくなっています。
自社の都合を押し付けるだけでは、顧客の購買意欲を喚起することには繋がりません。あくまでも顧客の意向に沿ったタイミングで、顧客の意向に沿う内容のオファーを送る必要があります(当社も改善の余地大ありなのですが)。
時には、宣伝とは違ったメッセージを送るのも大切です。商品への熱、ビジネスへの想いとは離れたコンテンツ、例えば地域振興や社会貢献を見据えたテーマでの情報提供は、「一味違う」企業のブランドを作ります。同じ買うなら…の最後の一押しは、こういうところからも生まれます。
旧日本軍がガダルカナルやインパール、そして沖縄で繰り返した、兵力の逐次投入。根拠のない楽観主義により短期決戦に持ち込まず、兵士と火器を見通しもなく場当たり的に継ぎ足して浪費し、損害を膨らませる。
これは孫子の兵法でも、ご法度とされています。やるからには集中して一気に叩く。攻めてはいけない相手は攻めない。勝てる戦にだけ臨む。過去の投資を惜しむことで、だらだらと不採算事業・商材への浪費を引きずらない。新しい業態と言われるネット通販・WEB業界ですが、所詮人間のやることです。常に歴史と先人に学びましょう。
というとちょっと極端ですが。当然、正しいコードの記述や、キーワードの吟味と仕込みなど、やれることはします。
その前に、大前提として、検索エンジンを見ないで、お客さんを見るということに対し、真摯に努力することです。ずーっと言われ続けてきたことです。検索エンジン最適化の前に、顧客最適化があるべきです。
商材にもよりますが、最近の検索エンジンで順位を上げるために必要なことは、他に無い(それでいて、需要のある)コンテンツの充実です。誰もが知っているキーワードでの上位表示だけがSEOではありません。それに、多少htmlの構文が崩れていても、コンテンツとしての競合相手が少なければ嫌でも上位表示されますので…。
リンク購入は今でもある程度の影響力を保っていますが、もはやネットの世界では犯罪に近い位置づけです。時代は変わりました。
「違い」を、大手にはちょっと真似できないスピードで生み出し続ける事。
本当に大切なのは、日々のルーティンに埋もれずに、こういうことを考える時間をとる事だと思います。
一見抽象的で直接業務に結び付かない話ばかりですが、こういった「ベースとなる基本的な考え方」や「業界観」について掘り下げることは本当に重要です。今は情報が溢れすぎて、ちゃんと自分の頭で考えることをしないと、簡単に迷子になってしまう環境です。
これは片手間でできる事ではありません。皆が寝静まった深夜、あるいはだれにも邪魔されない土日の早朝、一人自室に籠るなどして時間を作ります。そして、結果をきちんと自らのボスと擦り合わせます。