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商品知識を付けろと言われても、、、

営業マンや販売員の基本は人に好かれることと商品知識、などとどこかで耳にしましたが、物販に携わる者として必要不可欠な武器の一つが「商品知識」でしょう。

でも、商品知識なんて、どうやったら身につくのでしょう?
そもそも、商品知識とは、一体全体何なのか?
何を知っていれば、商品知識と言えるのか?
今日はこのことについて考えてみたいと思います。
 
 
まずは、商品知識の前に、商品が「売れるとき」すなわち「ゴール」から考えてみましょう。

お店にやってきた(あるいは、訪ねて行った)お客さんに商品が売れるときというのは、いろんな場面があると思いますが、究極的には、お客さんがとあるモノ(コト)を欲しており、そこへ適切な商品を提案(提示)できるからこそ売れるわけです。※1

適切な商品、これが難しい。

だって、お客さんの目的や現在の知識量、そのものが欲しい度合、性別、家族構成、その時の財布の中身にしても、気温や湿度にしても、基本は全部バラバラです。その中でも大事なポイント、気にしているところは皆違っています。違っていて当然なのです。自分はこれが欲しい、と分かっている方もいらっしゃれば、それがさっぱりわからない。そんな方だって、当然いらっしゃるわけです。

だから、この方にはどの商品が適切なのか?
このアタリを付けて差し上げることが、超超超重要です。
というか、これをするのが仕事です。よくいう「提案」というヤツです。
この「適切な提案」ができるかできないかが、雑魚かデキる人かの分かれ道でしょう。
だって、それができないならカタログだけ置いといたらいいじゃない。
 

でも、提案って、なんだ。

想像してみましょう。目の前に一人の女性。
商品は以下の5つ。

(1)バターロール
(2)食パン
(3)ラスク
(4)あんぱん
(5)スティックパン

さぁ、何をお勧めする?
わかんねぇよ、というのが普通だと思います。
 
 
では、世間話でもしてみましょう。

Aさん(30代、女性)は4人家族。子供がいる。小学校1年と3年。平日は勤めに出ているために学童に行かせており、自分が家に戻ったら即刻夕食の準備に取り掛かるが、子供が来るまで30分もない。夕食の準備はどう頑張っても1時間はかかるから、そのあいだ腹が減ったとうるさい。黙っててもらえるとありがたいんだけど、おやつあげるにしても夕食まで時間がないのにあまり気が進まない。なんて言いながら日曜日の夕方ママチャリで食パンを買いに来た彼女に対し、ついで買いを促すには何をお勧めする?

(1)ホテルに卸してる当店自慢のふわふわバターロール5個入り
(2)国内産小麦粉使用、高級食パン6枚切り
(3)ちょっとした手土産用、個包装5個入りこだわりラスク
(4)泣く子も黙るアンパンマンの形を模した、あんぱん
(5)小腹がすいたときにぴったり。ミニチョコチップスティックパン8本入り

いや、正解はないわけですが。でも、少し見当はつけやすくなったのでは。

商品知識として良く言われるのはこの(1)~(5)をガンバって覚えよう!
とする話ですね。まぁ、当たり前ですね。商品の知識は欲しい。

でも、でもですよ。
じゃあこれ、どうですか?
 
 
目の前に男性。
商品は以下の5つ。

(1)ホテルに卸してる当店自慢のふわふわバターロール5個入り
(2)国内産小麦粉使用、高級食パン6枚切り
(3)ちょっとした手土産用、個包装5個入りこだわりラスク
(4)泣く子も黙るアンパンマンの形を模した、あんぱん
(5)小腹がすいたときにぴったり。ミニチョコチップスティックパン8本入り

さぁ、提案してください。

難しくないですか?つーか、売れなくないですか?
売りにくくないですか?
 

結局、お客さんについて知らなきゃダメなんです

「商品知識」という言葉の陰に隠れているのは、その商品が真価を発揮する場面、その商品が満たすことのできる場面(=使われ方)そのものへの理解です。どのような人(集団、会社=顧客)へ向けて作られた製品なのか。どういった使われ方をするものなのか。どういった機能がそれを実現するのか。

「その枠」を押さえた上で、目の前のお客さんの欲することを、この商品で満たすことができるのか。できないのなら、代わりになる商品は何か他にないか。

「その枠」にその顧客がハマるのか否か、それを掴まなければなりません。それを掴むためにこそ、会話をするのです。見境もなく世間話しても、時間が過ぎるだけで、意味がありませんから。(仲良くなって売る、というのも立派な方法なんですよ。でも、ネット社会では、難しくなりつつあります。)

逆に言うと、最初から狙っている層のお客さん(そのモノを欲しているおばちゃんならおばちゃん、若いにーちゃんなら若いにーちゃん)だけをひたすら連れてきて、彼らの欲しがる機能やこだわりポイントをパターン化して、それをうまいこと配置して誘導すれば、後は勝手に売れていく。
ネット通販と言われる事業は、究極はそれを目指して進化しているのです。

で、あるならば、知らねばならぬのはやはり、

(1)誰がそれを欲しがってて
(2)その方はなぜそれを必要としていて
(3)その方々のこだわりポイントは何で
(4)それを満たす商品としてはこれ、これ、これ(スペック、機能、特長)

結論としては
「(4)だけやってても仕方がない」
ということです。
 
 
日本人の好きなお勉強よろしく、製品のスペック表を暗記なんてしてても(するに越したことない場面はあるかもしれませんが)全く歯が立ちません。※2
結局、カタログに書いてある本社のエリートが書いた(1)(2)(3)を理解するには、それが使われている場面を知らなければならないのです。※3

つーわけで書を(スマホを)捨てよ、街へ出よ!
カタログだけじゃなくて、人に会って聴いてみる。友人でも知人でも。自分とこの商品を使ってそうな人に、片っ端から聞いてみるのです。どこで買った?どうして決めた?誰が決めた?どんなとこで迷った?

そして、先輩の現場経験をことあるごとに聞いてみる。こんなお客さんの時はどうした?こんな商品はどうした?こんなケースはどう扱った?
究極は、これに尽きます。昨今は上下関係をめんどくさがる風潮もありますし、製品寿命も短いから昔話なんて役に立たねー。という声も聞きますが。それはあまりに近視眼的。

時代が違っても、異業種からでも、学ぶことはあります。「人が物を買うまで」の流れは、大きくは変わらないからです。ネットが入って購買行動が変わっても、「プロセス」が変わっただけです。先輩のやってたこの部分が今はウチのサイトのこのコンテンツが担ってるな?他社媒体のココが取っていったな?あれ、この役割は誰が?お客さんが賢くなったのか?という具合に、描き出していくのです。
「顧客の欲するものを、適切に提示する。」
ことの本質は何も変わっていないのだから。
 
この話、非常に難しいです。だから、一流の営業マンや販売員(そして、一流の通販サイト)は、一握りしかいないのです。
(ウチもひたすら上をめざして…今日も頑張ろ。)
 
 

※1:顧客がモノやコトを欲していることに気づいていない場合や、何か満たされていないものがあることにすら、気づいていない場合もあります。それでも攻略する猛者がいますが、今回はちょっと置いときます。

※2:する必要があるとすれば「競合製品との差がある部分」を重点的に覚えます。よそが(商圏内の人気店A、B、Cが)カナダ産の輸入小麦なら、ウチは全部北海道岩見沢の契約農場産が100%。的な。それで味がどう変わるとか。あんこが中国産とか、店長はバツイチとかは覚えんでいい笑。

※3:というか、どこがその1、2、3なん?いやいや、書いたあらへんやん。その辺の情報は?ないの?え!?これ、誰のために作ったん?えーー??っていう商品も、実際にはあります。それでも売るのが営業マンの使命ですが…ただ、そこを営業マンから見える世界だけで判断し悲哀に暮れるのではなく、マーケティングや開発の言い分も聞いて、戦略的にその商品の位置づけを示し、現場のやる気を損ねず引き出すのがマネージャーの仕事。そのへんがグダグダなってることも、「良く」ありますがね…ガハハ
 
 

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