受けてきました。ネットショップ検定。
最初に言います。私こういう検定というか、資格ビジネスに、非常に懐疑的です。
特に民間資格は玉石混交、その運営の透明性とか、認証基準の客観性とかはともかく、それを取得するに至るまでのテキストや過去問の費用などが、取得後の就職や実務においてペイするかと言われると???
大体、みんなが知ってる常識みたいなものは、価値がないとは言いません。どっこいことネットの世界というヤツは変化が速く、ある時点で体系立てちゃえば最後、その知識は即座に過去のものとなり、意味を成さなくなるということがままあります。
いや、小手先の技術論のほとんどがそうです。
※実際、テキストには載ってるいつのやねんなSEO関連の問題が、全然出題されませんでしたし。
もっと極端なことを言えば、みんな知ってる時点ですでにその情報に「新鮮さ」という非常に大切な価値がありません。
だからこそ、みんなが知らない、気づいていないノウハウを編み出し、自社の体制に合わせ最適化しつつ、日々検証を繰り返しながら進むというスタイルが、変化の速いWEBサイト運営の現場ではよりベターな手法として定着しています。
WEBの世界で生き抜いている皆様方は「耳タコ」な話だと思いますが、「みんなが知ってる」「古い情報」に嬉々としてウン千円と貴重な時間を裂いて四択問題を解くための小手先のテクニックを頭に叩き込むのに一夜漬けって、…社会人にもなってお前らアホちゃうか?の世界です。
誰かに認めてもらいたい。でも、自分で自分の実力を定義できない。
それを伝える術を持たない。持とうとしない。
それが連綿と変わらない日本人のメンタリティーです。
偏差値教育と受験戦争の弊害です。
いいですか。もう一度言います。
「もうみんな知ってること」は、知識としてはともかく、情報としては陳腐です。
それに今の世の中、知識はストレージにでも置いておけばいい。
限られた頭のリソースは、構想や計画、改善検証そのフレームワークなどなど、もっともっと大事なことに使ったほうがいい。
…と。
さんざん毒を吐きながら、しかし、部内全員の受験を決め、3か月にわたる準備をしてきました。
これだけ言っときながら、仕事をするうえで、知識はどうしても必要です。
知らなかったではすまされない法律や慣行の類は腐るほどあります。
しかし、「暗記」に時間をかけるなら、そのアプローチは不要だと思います。
試験時はともかく、実務の環境においては、必要な情報はすぐに調べられますし、それがネットのいいとこじゃないの。
でも、多少はその「体系」に触れることも必要かとは思います。
たとえば、関連する法律が存在することを知らなければ、気づき、調べるという行動にすらたどり着けません。
たとえば、うろ覚えの単語やサービス、概念が出てきたときに、わずかでも接触した経験があれば、それが引き金となってゼロから調べるのよりも短い時間で理解ができます。
そういうスタッフの少しずつの知的水準の差が、全体としての生産性や品質、コンプライアンスにも影響を及ぼしてくると思えば、ばらつきのあるメンバーの知識の底上げに、この検定を利用することは有意義だと思えます。
しかし、冒頭のとおり、そのプロセスに意味はあれど、その「資格?」そのものに価値はないと思っておいたほうが無難です。少なくとも、日々の実務を乗り切ろうと思うのなら、はるかに莫大で膨大な情報量を処理する必要があるし、それに加えてその鮮度を保つという数段苛烈な努力が必要です。
それに、何よりも価値があるのは、実践から得られた学びを通じ、自社に合った切り口と身の丈に合った戦術を組み上げ、それを高速で実行しながらまた検証のサイクルを回し続けるという、めっちゃ高度なスキルです。
そこまでくると、結局はチームワークが必要で、個人技がなんぼ優れていても一人では全部完結できなくなってきます。もう大体、一人で全部やってると効率が悪すぎて、分業せざるを得なくなります。そして思うのです。個人の力を基本単位とする検定制度の浅ましさを。
本当に有能な人材は、チームを作り、機能させることができるのだから。
その点、自分なんぞ全くカスのような存在だと思い知らされ、今日もまた画面に向かうのです。合否通知は、忘れたころに届くのでしょうか。…ちょっとへそ曲がりすぎでしょうか。
結論。
勉強する機会を得るために受験する、というスタンスが部内の皆さんに伝わればいいなと。資格にこだわりすぎるのはやめよう。実務に勝る価値はないから。業績に敵う客観的指標はないから。自分の頭で考えて生きていこう。
あなたがここにいて、仕事をしている。その仕事を、より良いものにしていこうとしている。その覚悟が、この仕事をする何よりの資格だと私は思うのですが。
これを知っていれば安心、これができれば安泰なんてものはないのだけれど。
しかし、その覚悟=資格を満たしていれば、チームはあなたを見放さないと思うのだ。
一生食いっぱぐれないを実現するなんて、一人では無理なんだよ。人との協働、学び合いがなきゃ、一人で行くにはこの道はややこしすぎる。
ベーシックな共通言語を身につけたら、さて、本当のスタートラインはここからなんですよということが言いたい。
この検定を一緒に受験した、三月でチームを巣立つノコノコさんに、何か一つ武器を持たせたい。上長としてはその一心でした。
彼女の努力が報われますように。
この「武器」は全く使い物にならないかもしれないけど、この武器を探しに行った日々と、格闘のさなか少しだけ身についた筋肉は、その辺で配ってる安っすいナイフなんかより、よっぽど頼りになるんだぞ!