以前の記事ブームの去った?facebookをめくってみると…
で触れたFACEBOOK。この度、所属商工会議所でセミナーがあり、「主観的印象」から少し掘り下げ「中小零細企業は如何にFACEBOOKブームに乗っかればいいのか」を考察し、部内報告をしました。ついでにその内容をこちらでも公開します。
この手の情報は氾濫し、素人も玄人も好き放題言っておりますが、京都のとあるネットショップ企業WEB担当者は、一連の流れをこのように読みました。
前回記事では利用者減の速報値から「ブームの去った?…」としていましたが、直近の統計では再び利用者数は上向いています。今後も推移次第では継続的に小耳に挟まざるを得ない「FACEBOOK」です。
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■FACEBOOKとは?
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・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のひとつ
→ユーザー同士の交流を図るサイト。
媒体は様々…動画=Youtube、短文投稿=twitter、
ゲーム=GREE etc…
・FACEBOOKは会員制コミュニティサイトという位置づけ
→「友達」同士で、文章、写真、動画、気になるサイト
などのコンテンツを共有する。
現実社会での人間関係構築・維持の一助。
・FACEBOOKの特徴
→原則、実名で登録。本物の顔写真を掲載。全て無料。
現実世界の友人ネットワークとコミュニケーションを
支援するツール。
実名制からくる責任感、規範意識あり。荒れにくい。
炎上しにくい。(0ではないが)
→気軽に反応を残せる「いいね」ボタンという仕組み。
それを加味したページ表示アルゴリズム。
「いいね」が集まると、露出機会増え、影響力を発揮
できる。
→他サイトのコンテンツとの親和性が高い。簡単に同期・
共有できる。
→全世界で見ると会員数6.5億人。大市場。
(但し、それをフルに生かせるのは英語利用者)
日本での会員数(実際に動いてるアカウント)は200万
人程度(人口比2%弱)/2011.5時点
→利用者は20代から50代にも広く分布。特に海外(主に
欧米)の人脈を持っている層に高普及率。
というか、海外の友人はmixiできないのでFACEBOOK持た
ざるを得ない。
→無料で企業の公式ページが作れる。
→プラットフォームが公開。サードパーティによるアプリ
開発が盛ん。
新たなサービスが続々と生まれる。
・mixiとの違い
→機能的にはFACEBOOKと近い。
(但し実名→半匿名の流れがある。)
mixiは、日本企業が提供する、日本固有のサービス。
この分野で先行していたため、現状会員数、訪問数等
で有利。
ビジネス利用を認めていない。(広告出稿を除く)
匿名ユーザーが多い。但し、これは仲間内では人物を
特定できるニックネームである場合が多い。
有効ID2300万人/2011.4時点(人口比20%程度)
(アクティブアカウントは半分くらいか?)
→FACEBOOOKより、新たな仲間の輪が広がりにくい。
「友達」は固定化される傾向。
⇔そこが、日本人にマッチしている面もある
→利用者は20代の若者層や大学生が主体。
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■FACEBOOKをビジネスにどう活用するか?
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・SNS本来の目的は外さない。
→あくまで、「ユーザー同士の交流を図るサイト」
露骨な宣伝文句は「嫌われる」
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○個人アカウントから売り上げに結びつけるパターン
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→既存の人間関係がベースにある。
同窓会で、自社商品の宣伝を始められたら、誰だって
うっとうしい。
→こまめに更新しつつ、日ごろから「いいね」を集め、
マインドシェア(友人のこころの中での存在感)
を高める=友人としての信頼を得、ここぞというときに
声をかけてもらう。
「どうせ同じもの買うなら、あの人から…」という
状況に持ち込む。車検とか保険とか…
3流メーカーの営業マンのイメージ。高いコミュニケー
ション能力か、マメな更新が必要。
※また、純粋に、高機能な情報共有ツールなので、
それを仕事の効率を上げる道具にはできる。
スケジュール管理、日報管理、業務カレンダー、
トップからの通達など…
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○企業のページ(FACEBOOKページ)を開設する
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→FACEBOOKページというページを勝手に作ることができる。
無料。機能、レイアウト面での制約はあるが、続々と
アプリ(有料・無料混在)が開発され、自由度は広がっている。
例)地図の埋め込み、既存ブログやツイッターとの
連動、ムービー埋め込み、ショッピングカートなど
→当事者でなくても作れる。例えば、アイドル「A」が
好きなら、誰でも『Aのページ』を勝手に作れる。
しかし、露出を増やすためには「いいね」を集めたり、
頻繁に更新する必要がある。
☆友人Xが『Aのページ』を見て「いいね」を押し
たり、コメントを書き込めば、「友人Xが『Aのページ』
に反応した」という情報が、友人Xのそのまた友人に
通知される。『Aのページ』が有用で、それを
見た人が次々に連鎖的にいいねを押せば、露出は
爆発的に増える。逆も然り。
→「共感してもらえるか」「面白いか」「役に立つか」
などが拡散するかどうかの鍵を握る。
コンテンツの質が問われる。つまらないか、悪意ある
ページは露出が抑えられ、拡散もしない。
→会社の公式ページも同様。作るのは無料。誰でもできる。
売り上げへの貢献、露出の増大など、機能するかどうかは
コンテンツの質(いいね!やコメントの数)次第。
しかも、露骨な商品PRでは共感が得られない。
(テレビCMと同じ。いいCMを思い出して。ここが難しい)
単純なSEO効果は、ある。
→現状他社を見回ると、商品自体の直接的な宣伝という
よりは、製品コンセプトのプレゼンテーション、開発秘話、
社会的ミッションなどのアピールが多い。
長いスパンで見たときのブランデドイメージの構築など。
実際、安いとかお買い得とか言うだけでは「いいね」が
集まらない。服や車、雑貨などコンシューマ向け、かつ
FACEBOOKの利用者の琴線に触れる商品力(デザインや
バックボーン、歴史、話題性)がある企業が「いいね」
を多く集めている。
(だからと言って売れてるかというとまた別の話)
→現状、「FACEBOOKページの成功」という定義自体が
漠然としている。混沌、試行錯誤。
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【参考】いいね!の多いFACEBOOKページランキング上位
ページの一例(日本)
1位はFACEBOOKの公式ページ。
2位 satisfaction guaranteed
海外でも国内でも展開する服飾ブランド
4位 BAD LAND
ハーレーダビッドソン専門のカスタムショップ。
8位 漫画全巻ドットコム
漫画を1巻から最終巻まで全巻単位でまとめ買い
できるインターネット書店。
11位 サッカー日本代表
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■FACEBOOKのすごいところ、怖いところ
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・SNSは口コミを集める装置
→情報化の進展で、マスメディア発、企業発の情報が
信用できないという流れ
→信頼できる友人の体験談や主観のほうが、有用な情報
ではないか
似たような価値観、思考回路を理解出ている人の生の声
のほうが信憑性が高いのではないか
という人の「行動パターン」を可視化、蓄積するシステム。
→(買い物で言えば)
知らない人より、知っている人から買う。
知っている人より、顔が分かる人から買う。
顔が分かる人より、会ったことがある人から買う。
人は、安心してものを買いたい。
・エッジランクという考え方。
→実際に交流をしないと、自分のページ(FACEBOOKページ
も同様)の更新情報が相手に表示されない。
実際にコメントしていないと、(同上)
実際に「いいね」を押していないと、(同上)
闇雲に不特定多数の人と友達になっても、本当に大切
な人でないとコメントも「いいね」もない。
→大切でない人の投稿や情報は表示されなくなる、という
アルゴリズムが「エッジランク」
→友人数の多少や生真面目さだけではうまくいかない。
そこには「評価」が介在する。
相互に切れ目のない監視が一生働く。
・日本はまたもやガラパゴス
→日本、中国、韓国、ブラジルはFACEBOOK後進国の
筆頭格。
→既存のローカルSNSが強い。中国は当局の規制で
ブロック。
→日本独特のネット文化「匿名性」が、FACEBOOKを
受け入れ難い土壌を作る。
→「FACEBOOK」という言葉の認知が上がっても、
SNSの機能、目的それ自体が浸透しない。
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■結論
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・SNSはあくまで交流サイト
→口が酸っぱい(笑)SNSで儲ける、儲かるという
論調は、本質を理解していない。注意。
・始めるのは自由
→原則無料。小さくても始めればいいと思う。
・極めるには、それなりの努力が必須
→当たり前の話だが、すぐに成果は出ず、しかも
成果の定義も自分でしなければならない。
→受動態では活用できない。使い方、使われ方、
価値の基準、存在意義、全てを能動的に創造
しなければならない。
(こと企業ページの場合)
・SNSというシステムのもたらす地殻変動に注視すべき
→WEB2.0=利用者が能動的に関わるネットサービス
という潮流の集大成がSNS。
→「WEBは、発信者側の都合でのコントロールが今後
ますますし辛くなっていく」という大きな流れを
踏まえて、長期的な対応が求められる。
→やはり、「利用者本位」の姿勢を日頃から徹底し、
コンテンツに落とし込んでいくことが、長い目で
見たときのサイトの「評価」につながる。また、
そういった「評価を蓄積する試み」こそが「SNS」
の本質である。
→「評価される存在であること」が求められていく。
そして「評価」の基準も、時代や人と共に、変化
していく。
→SEO対策と共に、SNS対策が叫ばれる時代がやって
くるかもしれない。それをもたらすのはFACEBOOK
かもしれないし、そうでないかもしれない。
しかし、役に立つ情報に素早く手軽にアクセスし
たいという根本的な欲求が人間にある以上、「評価」
によって結果が左右される時代は、遅かれ早かれ
やってくると考える。
以上。
↑私も地デジ難民…、いや、能動的脱テレビ市民。