弊社、ミモザ情報システムの社内には『小変録』というものがあります。
『大変』ならぬ『小変』を集め、記録する。それが『小変録』の役割です。
今回は私たちミモザを語るうえで欠かせないこの『小変録』について、書いていこうと思います。
申し遅れました。私は八尾といいます。
ミモザに入社してまだ一年、いわゆるペーペーの私ですが、どうかお付き合いください。
さて、そもそも『小変』とは、読んで字のごとく『小』さな『変化』のことです。
なにか問題を解決、改善するために行われた変化を、ミモザでは毎日ひとつずつ、全社員が記録しています。
たとえば
■レターパック、縦向きに保管しておくと自重でゆがむ → 横向きで保管。多少場所は取るが、ゆがみは和らぐ。
■テレワークの日、朝礼に参加できない → GoogleMeetを使って中継してもらう
■トイレ掃除が面倒 → スタンプクリーナーを使用。掃除の回数が激減した
はい、このような感じで。
ちなみに一番下のものは、社内のトイレではなく、とある社員の自宅での出来事です。
日々の業務に限らず、日常生活においての変化も、小変録には記録されています。
毎日社員の数だけ、となると、一週間でも数十個。2016年から始まったこの小変録は、今や13,000以上の行数になっています。
ミモザに入社した初日、私は真っ先に、この小変録の存在を聞かされました。
そして思いました。「なんだか楽しそうだな」と。
しかし、私は阿呆でした。読みが甘いといいますか、想像力に欠けていた、といいますか。
当然ながら「毎日ひとつ記録する」ということは、つまり「毎日ひとつ変化をする必要がある」ということです。
最初はいいです。新しい職場で、まだ業務スタイルが確立されていません。改善すること、決めることはたくさんあります。
お茶が足りないので大きな水筒を買う。
電話機を利き手側に置く。
PCの壁紙が地味なので綺麗な風景に変える。
ですが半年もすれば、「改善が必要で、かつそれがすぐに行えるもの」というのは、どんどんなくなってきます。
つまり、ネタ切れです。
考えても考えても、何ひとつ変化ができない。うんうん唸って、終業時間のギリギリになんとかネタを絞り出す。そういう日も増えてきます。
小変を書くのは大変、ということですね(どうしても思いつかない日は、それはそれで『逃げ道』もあります)。
では、なぜこんなに苦労する『小変録』が始まったのか。そして、今も続いているのか。
それはずばり、弊社の行動指針に由来します。
行動指針。それぞれの会社が掲げる、従業員の行動における原則、のようなものです。
皆様のお勤め先にも、行動指針があるところは多いと思います。あとは社是とか、経営理念とか。
そして弊社ミモザの行動指針のひとつに、『変化常態』というものがあります。
【変化常態 同じ事を単に繰り返すのではなく、自分の想いを根底に持って常に変化します。】
常に変化する。それがミモザが社員に求める姿勢です。
ただ皆様ご承知の通り、行動指針というものは得てして、形骸化するものです。
私の以前の勤め先もそうでした。新人の頃は、暗記できるまで書かされたものでしたが……。
とはいえ、それもある程度仕方がないというのも事実です。
社員個人が決めるものでもないですし、行動指針を遂行するための具体的な取り組みがなければ、なおさらでしょう。
ミモザの社長、藤田もそれを知っていました。
しかし社長といえば、この行動指針を定めた張本人。誰よりも強いこだわりがあり、社員に遵守させたいと考えるのまた、当然です。
そこで始まったのが、この『小変録』でした。
毎日社員に具体的な変化を求め、それを記録させる。
そうして社内に『変化常態』の意識を浸透・醸成させる。
それこそが藤田の狙いでした。
一社員(それも下っ端)の立場で恐縮ながら、「ああ、たしかに効果的だな」と思わざるを得ません。
毎日やれば、嫌でも意識に刻まれます。
習慣になる。クセになる。……おっと、嫌ではないですよ、本当に。
いろいろ言いましたが、小変録、実はけっこう楽しいものなのです。特に私は、他人の項目を見るのが好きです。
先ほどの例でもあったように、変化は社内だけでなく、社員の日常生活の中でも行われています。
■自宅での揚げもの、油が跳ねやすく火傷して危険 → 長袖を着て揚げる
■靴下、膝下ストッキング片方のみ紛失や破ける → 同じ種類、色で統一してスペアをまわしていく
■保育園の入退室カードの持参を忘れる → QRコード部分だけコピーし、財布に入れておく
いやあ、いいですね。なにがいいって、その人の人柄や生活が、リアルにイメージできるのが素敵です。
本人が書こうと思ったことしか書かれていないので、プライベートが云々、という問題もなし。
一年前、まだ入社したばかりで、誰がどんな人なのか全然わからず、不安だったあの頃。
私は先輩や上司の小変録をさかのぼって、勝手に親近感と温かみを感じていました。
そのおかげ、かどうかは不明ですが、社内に馴染むのも早かったように思います。
その点で、やっぱり私は、この小変録が好きです。
もちろん、今日も変化をしなければならないので、プレッシャーはありますが。
もうひとつ、いいなと思うことがあります。
私生活や仕事の中で、人間は『問題』を多く見つけます。
ですがその問題は、解消するには多少なりとも、労力と手間のかかるものであるのがほとんどで。
絶対解消した方がいいのに、目先の面倒くささに負けて、放置してしまう。
そしてまたその問題に困らされて、「あー、やっぱりどうにかするべきか。いや、でもなあ……」この繰り返し。
私を含め、多くの人たちがこの負のスパイラル、無駄な停滞に陥っていると思います。
それを自覚していても、まだ動けない。面倒くさい。
でも、それが人間のさがです。あらためるのは難しい。それができれば苦労はしない。
ですが実は、ミモザの社員は少しだけ、事情が違います。
もし、ここで重い腰を上げて改善を行えば、どうなるか。
「問題が解消される」のに加えて、なんと「次の小変録に書くネタができる」というおまけがついてくるのです。
おお、これはすごい。
つまり、改善(変化)のメリットが、普通の人よりひとつ多いのです。
面倒くささに負けて行動できなかったところへ、「小変録を書かねばならない」という、それを上回る別の面倒くささの登場。
これによりミモザ社員は、いえ、少なくとも私は、改善のハードルが下がりました。
たくさんあった「まあいっか」が、「まあやるか、小変に書けるし」に変わる。
これは、小変ではなく大きな変化です。
そしてほとんどの改善は、「やっぱりやってよかったな」と思えることばかりです。
何気ない小変の積み重ねで、生活や仕事がよくなっていく。
ああ、これが変化のちからか、と思わされます。
きっと、社長の意図とは違うでしょう。なにせこれは、「小変録を書くのが面倒だ」という前提での話なのですから。
しかし、作った人間の意図からはずれて、思わぬ効果を発揮する。そういうものだって、この世にはたくさんあるはずです。結果オーライ、棚からぼた餅です。
さて、そんなわけで、本日はミモザにあるちょっと珍しい試み『小変録』についてご紹介しました。
実はこの小変録には、まだまだ秘密があるのですが、長くなるのでまたの機会に。
今後は、私が個人的に選んだ『気になる小変』を取り上げて、いくつか記事を書いていく予定です。
単なるネットショップである弊社の、スタッフブログにまで足を運んでくださった皆様、もしよろしければ、これからも当ブログ、そしてミモザをよろしくお願いいたします。