現在、法人又は従業員5人以上の個人事業所におきましては、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられています。
該当する事業所において、下記(1)(2)のいずれかに該当する方が加入対象者となります。
(1)常勤役員で報酬が支給されている者
(2)1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者
なお、上記に該当する方が501人以上の企業等で下記(3)(4)(5)のいずれの要件も満たす労働者につきましては、上記(1)(2)にかかわらず社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければなりません。
(3)1週間の所定労働時間が20時間以上
(4)月額賃金8万8千円以上
(5)学生ではない
ところで今回、(1)(2)に該当する方が500人以下の企業等においても、上記(3)(4)(5)のいずれも満たす労働者について社会保険の加入を義務付けるべく法律が改正されました。今回はこの点について取り上げてみたいと思います。
上記の(1)(2)に該当する方については、従来通り社会保険の加入対象者であることは変わりありません。今回法律が変わり、今まで501人以上の企業等を対象にしていた上記(3)(4)(5)を満たした場合の社会保険加入拡大につき、令和4年10月1日以降は101人以上の企業等まで範囲が拡大されました。
例えば、社会保険加入者が200人の会社であれば、現在は上記(1)(2)の方つまり、1週間の所定労働時間が30時間以上の方のみを社会保険に加入させればよかったのですが、今後は20時間以上30時間未満の方も加入させることが必要になります。
社会保険料は労使で折半負担することになっていますので、企業側の負担が増えることになります。
なお、上記の101人のカウントについては、「厚生年金保険被保険者(社会保険加入者とほぼ同じ)の総数が、1年間のうち6カ月以上100人を超えることが見込まれる場合」と定義されました。
上記1.は、令和4年10月1日以降の法改正なのですが、実はその後の法改正スケジュールも決まっており、さらに2年後の令和6年10月1日からは51人以上の企業等も上記(3)(4)(5)を満たせば社会保険に加入させることが必要になります。つまり、51人以上100人未満の企業等も社会保険料の負担が増えることになります。
大企業など、従業員数の多い企業等につきましては、従来から1週20時間以上の方が社会保険加入対象でしたが、今後は人数の少ない中小企業にもこの制度が適用されることになります。
今後は、従業員さんの採用計画や給料の設定をされる場合は、そのあたりも考慮に入れることが肝要になります。