育児や介護のための休業に関する法律(育児・介護休業法)が令和4年4月1日から順次改正されます。
改正の目的は、少子高齢化に伴う人口減少下において、出産や育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現です。
今回はこの改正について取り上げさせていただきます。
男性の育児休業取得促進のために、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み(産後パパ育休)が創設されました。
具体的には、男性が子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる
育児休業の制度が新たにできました。
産後パパ育休は、2回に分割して取得することも可能です。
育児休業を取得しやすい雇用環境の整備を進めるために、妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対して、個別に育児休業制度を周知し、かつ育児休業の取得意向を確認することが事業主さんに義務付けられました。
現在は、子が1歳に達するまでの育児休業の取得は原則として子1人につき1回限りとされています。改正後は、理由を問わず2回までの分割取得が可能になります。
常時使用する労働者数が1,000人超の事業主様に対し、毎年少なくとも1回、育児休業の取得状況を公表することが義務付けられました。
有期雇用労働者が育児休業を取得する際の要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件が廃止されました。
ただし、労使協定を締結した場合には、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することは引き続き可能となります。
上記の改正内容の施行日は、上記の2.と5.は令和4年4月1日、1.と3.は令和4年10月1日、4.は令和5年4月1日となっております。
男性の育児休業取得率は、令和元年度の調査では7.48%、令和2年度の調査では12.65%と、近年上昇しているもののいまだ低い水準にとどまっています。
一方で、育児のための休暇・休業の取得を希望していた男性労働者のうち、利用できなかった者の割合は約4割と、労働者の休業取得の希望が十分かなっていない現状にあります。
このような状況を解消すべく今回の改正が行われることになりました。
今回の育児休業の法律改正により、育児休業の制度が複雑にはなりましたが、労働者にとって今までより使いやすい制度になったものと思われます。