仕事や通勤以外が原因で病気や怪我をした場合、健康保険から傷病手当金が支給されます。
傷病手当金は、もらい始めてから1年6か月後までを上限として、病気や怪我のために仕事ができなくて休み、かつ賃金を支給されていない期間を対象に支給されることになっています。
雇用保険は前述の通り1か所の事業所において加入要件を満たさないと加入できないシステムになっています。
そのため、例えばA社で週15時間、B社で週10時間の合計週25時間勤務される場合などについては、合計で週20時間以上勤務しているのに雇用保険には加入できません。
今回、この「1年6か月」の取り扱いが変更されました。
今回はこの点について取り上げさせていただきます。
傷病手当金とは、前述のように健康保険の被保険者が病気や怪我により仕事を休み、賃金が支給されない場合に、その間の賃金を補償するために支給される給付金のことをいいます。
なお、仕事中に怪我をし又は通勤帰宅途中に交通事故にあった場合などの場合は、傷病手当金ではなく労災保険が適用されることになっています。
法律改正前の傷病手当金は、下記のとおりです。
【支給要件】
(1)療養のために労務に服することができないこと
(2)労務不能の日が継続して3日間以上あること
(3)労務不能により報酬の支払がないこと
【1日あたりの傷病手当金額】
支給初日より1年6か月間を上限に支給
【支給対象期間】
支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均の30分の1に相当する額の 3分の2
法律改正後の傷病手当金は、下記のとおりです。
【支給要件】【1日あたりの傷病手当金額】
共に変更なし
【支給対象期間】
支給初日より通算1年6か月間を上限に支給
つまり、改正前は「1年6か月間を上限」だったのが、改正後は「通算1年か月間を上限」と変更されたわけです。
【令和3年4月1日から傷病手当金の対象となる方の場合】
法律改正前であれば、1年6か月後の令和4年9月30日までの間で病気が治り出勤するなどして傷病手当金の対象でない期間があったとしても、令和4年9月30日より後は傷病手当金の対象にはなりませんでした。
しかし法律改正後は、実質的に1年6か月間が傷病手当金の対象になりましたので、例えば令和4年9月30日までの間に病気が治り出勤するなどして傷病手当金の対象でない期間があった場合は、その期間分支給期間が延長されることになりました。
つまり、実質的に1年6か月分の傷病手当金が受給できるようになりました。
傷病手当金は数年前に金額の算定方法が変更になり、今回は対象期間の考え方が変わりました。今後も変更の可能性がありますので注意が必要です。
なお、新しいルールの開始日は令和4年1月1日です。