皆さんもよくご存知だと思いますが、勤続6か月以上の労働者については、法律の定めるところにより年次有給休暇(以下「年休」という)を付与しなければなりません。
年休の付与日数は、各労働者の勤続年数により下記のようになっています。
勤続6か月 10日付与
勤続1年6か月 11日付与
勤続2年6か月 12日付与
勤続3年6か月 14日付与
勤続4年6か月 16日付与
勤続5年6か月 18日付与
勤続6年6か月 20日付与
以後1年経過ごと 20日付与
上記をご覧になってお気づきかと思いますが、年休の付与のタイミングは、労働者ごとに入社日を基準に決められます。
従って、4月1日など毎年一斉に労働者を採用される場合はさておき、随時採用しておられる会社さんの場合、労働者一人一人の年休を付与するタイミングが各人各様となります。
つまり、いつ年休を付与すべきかを管理するのが大変になるわけです。
このような場合の解決策として、年休の付与のタイミングを、入社日にかかわらず一定の日にする方法があります。今回は、この方法について解説させていただきたいと思います。
前述のように、年休を付与するタイミングは入社から6か月経過時、1年6か月経過時など入社日によって異なります。
例えば、4月1日入社であれば毎年10月1日付与になりますし、5月21日入社であれば毎年11月21日付与になります。
そこで、これらの付与のタイミングを統一すべく、入社日にかかわらず、全労働者に毎年2回、4月1日と10月1日に年休を付与する方法を取ることもできます。
例えば、4月1日~9月30日に入社した労働者については10月1日に年休を付与、10月1日~3月31日に入社した労働者については4月1日に年休を付与するのです。
このようにすると、全労働者について、入社から6か月以内に年休を付与したことになり、法律を上回る扱いをしたことになり、合法的に運用することができます。
1.のように、年休付与のタイミングを年2回に統一すると、会社としては年休管理が楽になります。
ただこの場合、4月1日又は10月1日に入社した労働者以外については、法律で求めているよりも、年休付与のタイミングが早くなることになります。
例えば、9月1日入社の場合、入社から1か月しか経過していない10月1日に10日間の年休が付与されることになってしまいます。
つまり、入社日によっては、法律で定めている内容を大幅に上回る内容となってしまう場合が出てくるのです。
年休付与のタイミングを、4月1日や10月1日といった日に統一する制度を導入する場合は、会社にとってのメリットとデメリットを検討したうえで決めるのがよいでしょう。
メリットとしては、本来よりも早く年休を付与することで、労働者の福利厚生が充実することになり、よりよい労働者が集められるといったことが考えられます。
また、デメリットとしては、入社していきなり休まれるということが想定できます。
いずれにしても、年休の付与のタイミングを決定した場合は、就業規則にその旨を記載しておくことが必要となります。