健康保険組合や協会けんぽ(前身は「政府管掌健康保険」)が運営する健康保険は、在職して報酬を得ている労働者や役員が、業務外の理由で病気やけがをした場合に、療養の給付や各種手当を支給する制度です。従いまして、退職した場合には、原則として国民健康保険などの他の健康保険に加入するか、家族の加入している健康保険の被扶養者にならなければなりません。
しかし、健康保険組合や協会けんぽには、一定要件を満たせば、例外的に退職した後も一定期間加入し続けることができます。これを「健康保険の任意継続」といいます。今回は、「健康保険の任意継続」について、その概要をご説明させていただきたいと思います。
健康保険に任意継続加入するには、下記の要件をすべて満たすことが必要です。
(1)退職し、被保険者の資格を喪失すること
(2)資格喪失の日の前日まで継続して2か月以上被保険者であったこと
(3)資格を喪失した日から20日以内に保険者に申し出を行うこと
健康保険の任意継続加入をした場合は、2年間加入することになります。
ただし、下記の場合はその時点で任意継続加入は終了となります。
(1)死亡したとき
(2)保険料を納付期日までに納付しなかったとき
(3)就職等し、他の健康保険の被保険者となったとき
(4)後期高齢者医療の対象者となったとき
健康保険に任意継続した場合の保険料は、資格喪失時の本人負担保険料の2倍になります。ただし、協会けんぽの場合、健康保険料は都道府県ごとに違いますので、勤務していた会社と本人の住所地で都道府県が異なる場合は2倍とならないこともあります。なお、任意継続の保険料には上限があるため、退職時の報酬が高かった場合などは、2倍より少ない額となる場合があります。
一般的に退職後の健康保険は、「国民健康保険」より「任意継続」を選択した方が保険料が安くなる傾向があります。ただし、解雇や雇い止めなどにより離職した場合は、「国民健康保険」の保険料が軽減されることがありますので、事前に保険料を調べた上で加入する健康保険を決められるのがいいでしょう。
なお、ご家族の健康保険に扶養家族として加入できる場合は、健康保険料が無料になりますので、念のため申し添えておきます。