住山香 著 (社会保険労務士 住山事務所)
皆さん、はじめまして。今回から執筆を担当させていただくことになりました
社会保険労務士の住山香と申します。
このコラムでは、社会保険・労働保険の実務を中心に、幅広い情報をお届け
させていただこうと思っております。末長いお付き合いの程、宜しくお願い
申し上げます。
さて、事業主さんは毎年7月1日から10日の間に、社会保険の算定基礎届を
作成し、日本年金機構(管轄の年金事務所)に提出しなければなりません。
皆さんの事業所でも既に提出されたものと思います。
この算定基礎届は、社会保険に加入しておられる方の標準報酬月額や保険料
額を決める年に1回の大切な手続きです。毎年7月の決まった時期に行うので
「定時決定」とも呼ばれています。
今回は、社会保険の算定基礎届についてお話させていただこうと思います。
日本年金機構から各事業所に送付される算定基礎届には、社会保険(健康保険・
厚生年金保険)に加入されている方の氏名があらかじめ印字されています。
記載されている氏名ごとに、4月5月6月の各月に支払われた役員報酬又は
賃金額(以下「賃金等」という)を記載します。
ここで注意しなければいけないのは、この欄に記載する賃金等は、支払日を
基準として書くという点です。
例えば、賃金が月末締・翌月10日払の場合であれば、4月10日、5月
10日、6月10日に支払われた賃金等を記載するということです。
次に、上記4月5月6月の賃金等の合計を計算し、その平均額を記載します。
この金額を元に標準報酬月額が決定されるのです。標準報酬月額は1万円から
6万円刻みの階段状になっており、例えば、上記平均額が19万5千円以上
21万円未満であれば、標準報酬月額は20万円となります。
さて、このようにして決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の
8月まで適用されることになり、各人の健康保険料や厚生年金保険料の計算
だけでなく、傷病手当金などの健康保険の給付や将来受給する老齢厚生年金の
金額の算出の元にもなるのです。
なお、算定基礎届は、7月1日現在に社会保険に加入している方のみが対象に
なります。ただし、6月1日から7月1日の間に社会保険に新規加入された
場合は、資格取得時に決定された標準報酬月額が翌年8月まで適用されること
になりますので、当年の算定基礎届の対象にはなりません。
算定基礎届は、標準報酬月額を決める大切な手続きです。申請期間も10日間
しかありませんので、速やかに正確に手続きすることが求められます。