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燃えてる嵐山

~ 遠い日の愛の残り火が 燃えてる 嵐山 ~
 
『京都慕情』でこのように歌われ、「はて、燃えるとは紅葉なのか?」
「でも前後の歌詞を考えると夕照の山並みか?」
「しかし、渡月橋から望む嵐山は西側だから逆光じゃね?」
と、どうでもいいことを綴りながらこの歌が流行った時代を私は知りません。
 
先日の台風被害で、連日、濁流に洗われる渡月橋を見せつけられております。
電車で10分ほどの太秦に住む人間として、これはショッキングな映像でした。
(それ以上に、夜中から断続的に続く聞きなれない着信音と避難勧告~指示メールに恐怖を覚えました)
 
一週間ほど経ち、付近へ様子を見に行ってみると、今は平穏な状態を取り戻し、多くの店は普段通り営業をされています。
 
一方、渡月橋の下流側、桂川の中洲に位置する中の島地区は相当深く浸水したようで、とても営業どころではない店舗も見受けられました。
 
それでも、この地で営業を再開をするという彼ら。
水害再来の怖さに勝るロケーションの魅力、長年居ついた場所への愛着、いろいろな思いが交錯してのことだろうと感じます。
 
今号は、古今東西の人々から愛され続ける景勝地・嵐山を取り上げます。
 
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■まずは嵐山の由来

「嵐山」という独特の地名の由来は、例によって諸説あります。
よく言われる日本書紀起源説によると、「ウタアラスダ」の地を捧げ、神を祀ったとの記述から。
ウ=宇=良い
タ=田=地面
アラス=荒樔=中洲=今の松尾地域
ダ=田=地面
ウなタのアラスダにある山、アラス山。
じぇじぇじぇ!こりゃ訛ってますね。
 
なお、厳密には地名としての嵐山は南岸(西岸)のみでありこちらは西京区。
一方土産物屋が立ち並ぶ北岸は、右京区「嵯峨(さが)」と呼ばれます。
 
鉄道で「嵐山」が付く駅は嵐電、阪急、JRの三駅ありますが、住所が「嵐山」なのは実は南岸の阪急嵐山駅のみです。ただ、「嵐山」と言えば渡月橋の両岸一帯をさす言葉として広く定着しています。
 
なお、あまり知られていませんが、「嵯峨野」という地名・学区は「嵯峨」とは別にありまして、少し東に離れた嵐電有栖川駅の南側にあたります。一方、観光ガイドでの「嵯峨野」は小倉山の麓のあたりを指していることが多く、ややこしい話です。
 
「嵐山」という山もありまして、渡月橋から南西に見える標高300メートル余りの山がそれです。
 

■すっかり嵐山マニア(?)になったところで、みどころ

天龍寺、法輪寺、野宮神社など。少し足を延ばせば大覚寺、清凉寺、化野念仏寺など。
こうして書いてみると、嵐山の観光名所は、渡月橋北岸に集中しています。
これはもともと歴代の天皇が北岸に別荘を建て、渡月橋と嵐山が織りなす景観を楽しんでいたからです。
南岸は山が迫り土地が狭いため、大きな寺社は建てられず、もっぱら住宅地となっています。
 

■嵐山を愛でる

記録を紐解けば、平安時代には一帯を「西郊」と呼び、貴族たちが遊猟したり、別荘や寺院を建てたりして親しんていたようです。
その景観は広く愛され、古くから歌にも詠まれてきました。
小倉百人一首が選ばれたのも、嵐山にほど近い小倉山荘でのことでした。
 

■嵐山を歩く

スポット情報は、いくらでも出てくる観光サイトや出版物に譲るとして、ここでは地元の人ならではの、ゆったりめぐる嵐山周辺散歩コースを紹介できればと思います。
そもそも、嵐山は古来、街の生活圏にはない長閑な水と緑の風景を眺め、気分転換をしたり、考え事をしたりするのが正しい?過ごし方であったものと思いますので。
芸能人ショップ?スウィーツ?…それ、ここ30年くらいの話ですよね?
 
さて、これは好みの問題でもありますが、シーズン中はものすごい数の観光客が集まりますので、風景どころか人間ばかり見て疲れるのは必至です。
人の流れは渡月橋より東側、天龍寺門前から竹林の道・大河内山荘方面に集中します。そこで、おすすめなのが亀山公園です。渡月橋の横の道を桂川の北岸に沿って遡ると、丘全体に植えられたモミジが美しい静かな散歩道が続きます。
少し坂を上れば、保津峡も見渡せます。
 
もう一つ、是非お訪ねいただけたらと思うのは大覚寺から広沢池への田園風景。
大覚寺のバス停前の通りを東に向かって歩いていくと、田んぼの中の細い道が続きます。
人口140万都市の都心から車で僅か20分ほどでこんな風景が?と驚かれると思います。
この辺りは「風致地区」として大変厳しい建築規制が敷かれ、自然林の山々とあわせ月見の名所・大覚寺大沢池の借景として見事な役割を果たしています。
 
また、この辺りの畑は露地栽培ばかりでビニールハウスがありません。
都市近郊にあって平安の頃から変わらぬ風景を保っている「嵯峨野」の本当の魅力と地元住民の努力は、観光開発された渡月橋周辺よりも、この辺りにこそ垣間見ることができるように思います。
ここまで来ると観光客も少なく、のんびり歩けますよ。
 

■嵐山で乗る

歩き疲れたら人力車もいいですが、料金が高いんですよね。
そこでお勧めなのがトロッコ列車。
 
JR嵯峨嵐山駅の横から出る「嵯峨野観光鉄道」では、遊園地の乗り物とは比較にならない本格的な汽車旅が味わえます。
 
この鉄道は、新線への切り替えで打ち捨てられようとしていた川沿いの古い線路を活かして観光資源にできないか?というJRの社内プロジェクトに端を発します。
巨大企業・JR西日本のプロパー社員が突如、廃線のトロッコ列車運営会社に出向を命じられ、カネ無し人無しの逆境の中、草に埋もれた線路を切り拓いていく…開業20周年にあっていまだ人気が衰えない今日の成功を見るにつけ(それと苦難の道を歩むJR西本体を対比するわけではありませんが)、出向組は文字通り「倍返し」を果たしたわけで…。
 
そんなトロッコ列車、30分近く座って保津川の絶景を堪能して、たった600円(しかも座席指定)なんですよね。
しかも、JRの駅の窓口や、旅行会社で、事前に購入できてしまうという。
券さえ持ってればどんなに嵐山が混雑していようと待ち時間ゼロで乗れます。
 
※亀岡からは保津川下りでも、普通の電車でも帰ってこられます。
 
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嵐山は今も昔も人を惹きつけて離さない、京都随一の観光地。
台風の爪痕は残りますが、本格的な観光シーズンまでには間に合わせようと、復旧に燃えております。
現在も中の島公園などごく一部を除き普段通り楽しめます。今秋もどうぞおこしやす。
 

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