従業員が一定数以上の規模の事業主さんは、障害者雇用促進法に基づき、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にしなければなりません。
令和4年現在の「法定雇用率」は民間企業の場合は2.3%となっております。つまり、従業員を43.5人以上雇用している事業主さんは、障害者の方を1人以上雇用しなければなりません。(※43.5人×2.3%=1.0005人)
ところで、この法定雇用率を満たすための方法としましては、自社で障害者の方を直接雇用するのが原則ですが、それ以外にも様々な方法があります。
今回は、その方法について取り上げてみたいと思います。
この方式は、障害者の方を既存の会社内の組織で直接雇用し、その者の担当する業務に分散配置する方式です。
この方式になじみやすいのは、それぞれの障害者の方が独力で担当業務を処理できる場合です。
この方式は、障害者の方を既存の会社内の特定の組織部署に集中して配置する方式です。
例えば、知的障害者の方の場合には、組織内の1つの部署に指導者を配置したうえで、その部署に知的障害者の方を集中配置し、その指導者が常時、身近にいて作業手順等を教え見守る方式です。
この方式は、親会社が新たに特例子会社と呼ばれる会社を設立し、その子会社のみに集中して障害者の方を雇用し配置するものです。この方式を導入した場合、障害者の実雇用率はその企業グループ全体で通算して算定されます。
この方式の場合、企業グループ全体の力で子会社を障害者の方の働きやすい労働環境にすることができたり、指導員を集中配置して障害者の方に対応できるというメリットがあります。
この方式は、知的障害者の方の雇用について各企業で導入され、定着しています。
この方式は、雇用労働者として採用した従業員を、会社に出勤させずに自宅で勤務させるものです。
肢体不自由な方等通勤に困難を伴う障害者の方について実施します。
その障害者の方が自宅において独力で業務を遂行できる能力のあることが前提となります。
実施する場合はあらかじめ就業規則でルールを明確に定めておくことが必要です。
業種によっては、従業員数の2.3%以上の人数の障害者の方を雇用するのが困難な場合があります。そのため、一定の業種につきましては、「除外率」というものが定められており、2.3%より低い雇用率でもいいことになっています。
ただし、この除外率はいずれ廃止され、その際は原則通りの障害者雇用率を満たす必要が出てきます。障害者雇用は社会全体で行うべきものであり、そのため障害者雇用率という制度が設けられているわけです。
障害の有無に関係なく快適に勤務できる社会になるよう皆で力を合わせていければと思います