政府は、労働者が働いた場合に事業主さんが支払う賃金の最低限度額、つまり「最低賃金」について、毎年3%程度アップして最終的に全国加重平均で1,000円以上にする方針で引上げを実施してきました。
そして実際に当該方針に基づき、ここ数年、毎年25円程度引き上げてきました。しかし、令和2年度はコロナ禍であることに鑑み、賃金引上げよりも雇用維持に重点を置くべきとの考えから、ほぼ据え置きになりました。
そこで本年もコロナ禍が続いていることもあり、最低賃金は据え置きになるとの大方の予想でしたが、結果的には全国平均28円程度の大幅な引上げとなりました。
先日、京都府の最低賃金が正式に決定されました。金額は下記の通りです。
1時間当たりの最低賃金額937円
引き上げ後の最低賃金額は令和3年10月1日以降の労働に適用されます。
なお、京都府以外の都道府県につきましては、各都道府県労働局のホームページに引き上げ後の最低賃金額と適用日が表示されておりますのでご確認ください。
最低賃金額は雇用されて働く人、つまり労働者すべてに対して適用されます。
よく誤解があるのですが、最低賃金額は時給制の労働者だけでなく、日給制や月給制の労働者にも適用されます。
月給制の労働者(主に正社員)については、基本給や手当を足した額を1か月の平均所定労働時間で割った額が最低賃金以上であるか否かで判断します。
例.基本給10万円 営業手当6万円 1日8時間労働 土日祝・お盆・年末
年始休み の場合
この場合、年間の所定労働日数(休日出勤を除く)は240日くらいになります。
つまり、1か月の所定労働日数は20日くらいになります。
仮に1日の所定労働時間(残業を除く)を8時間とすると、1か月の所定労働時間は160時間になります。
(1)基本給10万円÷160時間=625円(<937円)
(2)(基本給10万円+営業手当6万円)÷160時間=1000円(≧937円)
(1)のように、基本給だけなら1時間625円となり法律違反になりますが、最低賃金を計算する際には営業手当などを算入してもいいことになっております。
従って(2)により、上記の場合は937円以上となっていますので、法律には触れないことになります。
上記の最低賃金を満たしているか否かをご確認いただく際には、下記の点に
ご注意ください。
(1)家族手当、皆勤手当、通勤手当、時間外手当、休日手当、深夜手当は含ま
ず計算すること。
(2)営業手当などの名目であっても、固定残業代として支払っているなどの
時間外手当の意味合いがある場合は含まないこと。
最低賃金は都道府県ごとに設定されますが、業界団体ごとの最低賃金額(産業
別最低賃金)が設定されている場合もあります。
その場合は、産業別最低賃金が適用されますのでご注意ください。