今年は暖冬ですが寒さが続き、日本でもコロナウィルスの感染が騒がれておりますが、くれぐれもご注意下さい。
令和2年の最初のメールマガジンとなりますが、今年もよろしくお願いします。
今回は2月17日からスタートする確定申告において、我々がよく見かける個人所得税の計算上の間違いや、勘違いの事例を中心にその注意点をお伝えします。
個人事業主やお商売をされておられる方で、売上代金が入金された時に収入計上されておられるケースを見受けますが、これは間違いです。
収入の計上は現実に代金を受取った金額ではなく、その年において収入すべきことが確定した金額とします。
つまり、12月中に、納品が終わっているとか、工事が完了していますと、その代金回収が翌年1月になったとしても、今年の売上として計算します。
又、家賃収入も同じで、滞納家賃であっても、入居されている期間の家賃は賃貸料収入として計算します。
但し、小規模の青色申告者が税務署へ届け出ることにより、現金主義による所得計算の特例を受けることができます。
仕入れの計上時期も上記の売上と同様で、仕入れ代金を支払った時ではなく、その年において支払うべき債務の確定した時です。つまり、仕入れた商品が12月中に納品され、その支払いが翌年1月になっても、仕入金額として計算します。
このような説明をしますと、たまに相談を受けるケースとして、「今年は利益が出そうだから、年末に大量に仕入れをします」といった類のものがあります。
しかし、仕入金額 =売上原価ではなく、年間の仕入金額に期首たな卸し金額を加算し、期末たな卸し金額を減算した金額が売上原価になります。
つまり、年末に大量に仕入れても、そのほとんどが在庫で残っていれば、売上原価には反映されず、節税対策にもなりません。
前年の所得に対して課税された所得税や住民税、本年中に納付した予定納税は、経費にはなりません。又、固定資産税や自動車税も納付した金額の全てが経費にはならず、事業で使用した部分についてのみ経費になります。
例えば店舗兼住宅の固定資産税については、建物の店舗使用面積部分が全体の30%だとすれば、納付した固定資産税の30%を経費として計算します。
但し、事業税は全額経費とすることができますので、お忘れのないようにして下さい。
下記の事例に沿って説明します。
- 令和1年度の事業所得を計算した結果、300万円の利益であった。
- 令和1年度の消費税を計算した結果 40万円であった。
- 税込経理方式で帳簿を作成している。
このケースでは、確定した消費税40万円を納付するのは、令和2年3月末であり、この40万円は一般的には令和2年度の経費となりますが、税込経理方式を採用している場合で、令和1年度の事業所得計算において、「未払消費税」として経費計上した場合には、この消費税40万円は経費となり、事業所得は260万円になります。
これは、納税者の選択ですので、消費税計算を終えた後に「今年の経費か、来年の経費か」を検討してみてはどうでしょうか。
令和1年10月1日から、消費税が改正され標準税率が10%、軽減税率が8%になりました。
このことにより、令和1年の申告は少し困難で下記の点に注意して計算して下さい。
- 1月1日~9月30日の取引は8%(旧税率)で計算
- 10月1日~12月31日の取引は10%(新税率)で計算
- 10月1日~12月31日の食料品の取引は8%(軽減税率)で計算
☆軽減税率対象の食料品については、昨年4月号「消費税改正についてパート2」に記載しておりますが、レストランなど外食やお酒は10%です。
10月以降に入金されている金額は10%の売上金額の入金とは限りません。
9月中に納品、完成、役務提供を終えた9月分の売上の可能性もありますので、請求内容を確認し、10%か8%かの区分をして下さい。
また、10月以降の支払、口座引落も同様に、請求内容を確認し、9月までの取引なら8%、10月以降の取引で一般は10%、食料品等の仕入なら8%になります。
今回の消費税の確定申告は例年よりも混乱を招きますので、各地で無料相談会場が設けられておりますので、ご利用なさってはいかがでしょうか?