朝夕の冷え込みが体に凍み、忘年会やクリスマスの声を聞くと、何かと忙しさを感じる12月です。
今月は、中小企業に対する法人税の優遇税制をいくつか紹介します。
制度の内容を理解すれば、節税のチャンスも見えるかもしれません。
まずは中小企業の定義を知っておいて下さい。
中小企業者等とは資本金等が1億円以下の法人または各種組合で青色申告書を提出する者をいいます。
★但し、資本金1億円超の大法人の子会社、大法人に間接的に支配される孫会社、3年平均の所得が15億円を超える企業は除かれます。
続いて、主な優遇税制の概要を説明します。
【概要】
新品の減価償却資産を取得した場合に、AまたはBの選択適用ができます。
A.特別償却(取得価額×30%)
B.税額控除(取得価額×7%)
特別償却することにより、通常の減価償却費に上積みで償却出来るので、その年度の経費が増えます。また、税額控除とは通常に計算された法人税額から、特別控除税額を引くことができます。
結果的にはその年度の税金が少なくなります。
【対象資産】
機械装置(1台160万円以上)、測定工具及び検査工具(1台120万円以上、または1台30万円以上の複数合計120万円以上)、ソフトウェア(1つ70万円以上、または複数合計70万円以上)、貨物運送用自動車(車両総重量3.5トン以上)
【概要】
中小企業等経営強化法による認定を受けた経営力向上計画に基づいて新品の設備を取得した場合に、AまたはBの選択適用が出来ます。
A.即時償却 取得価額の全額をその年度で一括で償却する
B.税額控除(取得価額×7% / 資本金3,000万円以下は 10%)
【対象資産】
生産性向上設備:生産効率、エネルギー効率等が旧モデルと比べて1%以上向上
収益力強化設備:年平均投資利益率が5%以上となる投資計画に必要な設備
機械装置(1台160万円以上)、器具備品(1台30万円)
ソフトウェア(1つ70万円以上)
◆機械メーカー等に対象資産であることの証明書を発行してもらう場合が多いです。
【概要】
災害への事前対策を強化する目的で、経済産業大臣が認定した事業継続強化計画に含まれる防災・減災設備への投資をした場合に、20%の特別償却が出来ます。
【対象資産】
事前継続力強化計画に含まれる機械装置(1台100万円以上)、器具備品(1台30万円以上、建物附属設備(1つ60万円以上)
【ポイント】
災害事前対策計画(企業が作成)について経済産業大臣の認定を受ける
例:自家発電機、排水ポンプ、制震・免震備品、防火シャッター、排煙設備
他にも設備投資を行った場合や給与等の引き上げ(前年に比べて)を行った場合の優遇税制もあります。