先日の台風18号がもたらした豪雨や竜巻は各地で甚大な被害をもたらし深刻な問題となっています。皆様の周りでも何らかの被害を受けた方がおられるのではないでしょうか。
そこで、今月は災害に関して法人や個人事業者が支出する費用などの税務上の取扱いについて、一部紹介させていただきますので、ご参考にして下さい。
商品・原材料等の棚卸資産や店舗・事務所等の固定資産が、災害により被害を受け「著しく損傷した」場合には、評価損を経費に計上することができます。
この場合の評価損額は、著しく損傷した棚卸資産や固定資産の帳簿価額と時価との差額です。つまり、災害で完全に商品価値を失った商品などは、時価が0円となり、その帳簿価額の全額が評価損となります。
又、その被災に伴い次のような費用が生じたときには、その費用の額は経費に計上することができます。
(1)損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額
(2)土砂その他の障害物の除去のための費用の額
災害により被害を受けた固定資産(被災資産)について支出する次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、次のとおりとなります。
(1)被災資産について、その原状を回復する為の費用は、修繕費となります。
(2)被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂
崩れの防止等の為に支出する費用について、修繕費とする経理をしてい
るときは、この処理が認められます。
(3)被災資産について支出する費用((1)又は(2)に該当するものを
除く)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合
には、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする
経理をしているときは、この処理が認められます。
災害により被害を受けた従業員等又はその親族等に対して一定の基準(慶弔見舞金規定など)に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金の額に算入されます。
被災前の取引関係の維持、回復を目的としてその取引先に対して支払った災害見舞金は、もちろん経費に算入されますが、法人税における交際費には該当しません。
又、その取引先に対する事業用資産の供与や役務提供の費用も同様の扱いとなります。 但し、取引先では、その受領した災害見舞金等を雑収入として収入計上しなければなりません。
被災した取引に対してその復旧を支援する目的として、売掛金の全部または一部を免除した場合には、上記4と同様の扱いとなり交際費には該当しません。